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治療を拒む患者に出会ったとき考えるべきこと
2018/ 4/ 4
たとえ治療効果が高くて患者の利益が大きいと考えられる治療であっても、患者が拒む場合はその意思を尊重しなければならない――。世界医師会が採択した『医の国際倫理綱領』にも盛り込まれている倫理規定だ。ただし、いくつかの前提条件がある。
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医師3034人に聞いた「終末期医療でのトラブルは?」
トラブルメーカーは遠方の家族、年金狙いも
2018/ 3/27
看取りの経験がある医師に終末期医療でのトラブルの経験を聞くと、4割が「ある」と回答。その多くが、遠方の家族・親戚の来訪によるトラブルを挙げた。患者の年金を家族が当てにするケースにも4割が遭遇し、トラブルの一因となっていると推察される。
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特集◎終末期医療の三原則《4》栄養管理
認知症の終末期では人工栄養に延命効果なし
2018/ 3/26
人工栄養の導入・非導入で長らく議論の対象となっていたのが胃瘻造設だろう。アルツハイマー病や老衰が進行した患者に対して、「食べられなくなったから即、胃瘻」という考えを長年批判してきた東京大の会田氏は、「人生の最終段階にある患者に人工栄養を行うことは、患者の苦痛を増すだけでメリッ…
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特集◎終末期医療の三原則《6》インタビュー
治療の中止には厳しい前提条件を
日本臨床倫理学会理事長 新田 國夫氏
2018/ 3/26
今回の診療報酬改定で終末期医療への評価が拡充され、多くの医師にその実施が求められている。だが安易な治療中止は、患者の生きる権利を奪い訴追されるリスクもある。その際どういうプロセスを踏めばよいのか。日本臨床倫理学会を設立し、在宅で1000人以上を看取ってきた新田氏に聞いた。
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特集◎終末期医療の三原則《5》血液透析
透析中止後の呼吸困難は「瀉血」で緩和できる
2018/ 3/26
福岡赤十字病院(福岡市南区)では、年に1〜2例、透析中止を希望する患者に対応している。その際に重要視するのは、透析を中止した後でどうなるかを患者や家族によく説明し理解してもらうこと。そして十分理解した上で中止を希望する患者では、中止後のケアも患者希望に合わせて実施することだ。
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特集◎終末期医療の三原則《3》呼吸管理
推定意思が確認できれば人工呼吸器も中止可能
2018/ 3/22
「心肺蘇生を望まない」という患者の意思が確認できていれば、急変時にその意思に従える。しかし、本人の意思を確認できない場合は、気管挿管・心肺蘇生などの蘇生措置を実施するのが医療の基本だ。では心拍は戻ったものの、人工呼吸器下で意識障害が継続し回復の見込みがない患者の家族から「本人…
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特集◎終末期医療の三原則《2》樋口範雄氏に聞く
終末期の治療差し控え・中止に警察は介入しない
2018/ 3/21
「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」初版は、医療行為の中止で刑事責任が問われた一連の事件を契機に策定されました。終末期医療で刑事責任を問われないために医療者が最低限守るべきことをまとめてほしいと、当時の厚生労働大臣が指示したのがきっかけでした。
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特集◎終末期医療の三原則《1》総論
延命治療の中止でトラブルを招かないために
2018/ 3/20
2018年度診療報酬改定では、「患者の希望に沿う終末期医療の実現」に向けた評価が拡充された。地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1・3を新設、訪問診療のターミナルケアに関する報酬をアップした上でその算定において「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(以下…
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「人生の最終段階に関するGL」改訂版が公表
2018/ 3/15
厚生労働省は、3月14日、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を公表した。これは、2007年に策定された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂版。今後、介護施設や在宅における看取りが増えることを想定し、介護も対象に加…
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インタビュー◎認知症の合併症を予防しQOLを改善する現場の知恵とは
無理な食事介助が誤嚥性肺炎を生む
江別すずらん病院認知症疾患医療センター長の宮本礼子氏に聞く
2018/ 3/15
医師でありながら、毎朝、認知症患者の食事介助に加わり、医療と介護の在り方の最善を模索している宮本氏。「認知症にだけはなりたくない」という社会の風潮に危機感を覚える同氏に認知症を取り巻く介護と医療、社会の在り方はどうあるべきかを聞いた。
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インタビュー◎日医生命倫理懇談会「超高齢社会と終末期医療」の位置付け
かかりつけ医が終末期の意思決定支援を
日本医師会常任理事の羽鳥裕氏に聞く
2018/ 3/12
日本医師会の生命倫理懇談会は、昨年11月、「超高齢社会と終末期医療」と題した第XV次答申をまとめた。同答申は、患者が望まない医療を防ぎ患者の意思決定を支援する上でかかりつけ医が重要な役割を演じるべきとする。同答申の位置付けを日本医師会常任理事の羽鳥裕氏に聞いた。
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日経メディカル 書籍紹介
終末期医療のエビデンス
2018/ 3/ 9
JAMA誌で10年以上続く終末期医療に関する連載の書籍版。癌のみならず、アルツハイマー病や心不全、肝不全、筋萎縮性側索硬化症、老年期のフレイルなどで、治癒が不可能と判断したときに、どのようにケアの道筋を立て、緩和・ホスピスケアを行うかを症例ベースで紹介する。
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中学3年の12月に逝ってしまった君の言葉
「生きて、僕が、みんなに会いに行く」
2018/ 3/ 5
「誰も呼ばなくていい! 僕が、みんなに会いに学校に行く」。何とか聞き取った君の声が、君の心が叫んでいた。「生きていたい! 生きてみんなと一緒に同じものを見て、聞いて、触れて感じて、大声で笑いたい!!」と。「何を言っているの。もう君の命が尽きようとしているの。もう助けることがで…
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インタビュー◎胃瘻バッシングで生じた歪みを考える
胃瘻適応者への長期間の経鼻胃管は「虐待」だ
東京大学大学院人文社会系研究科上廣死生学・応用倫理講座特任教授の会田薫子氏に聞く
2018/ 3/ 2
医療倫理的な視点から、人生の最終段階にある患者に対する延命治療の問題点を以前から指摘する会田氏。社会的な胃瘻バッシングにより胃瘻造設が減る中、経鼻胃管による人工栄養投与の増加を憂う。人工栄養は本来どう投与されるべきなのか。そもそも、医療者は「人生の最終段階」をどう解釈すべきな…
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短期集中連載◎重度の認知症患者を診るということ《4》
「借用書のIさん」が逝き、看護師は泣いた
「認知症の人は、今という瞬間を生きている」
2018/ 3/ 1
認知症の人は、今という瞬間を生きている――。認知症専門病院である春日部セントノア病院(医療法人忠洋会、埼玉県春日部市)で日々、内科医として認知症の診療に当たる高野正孝氏も、常に感じることだといいます。そんな瞬間、瞬間を生き抜いた患者さんが亡くなられたとき、見守り続けた看護師たち…