ガイドラインを引用する訴訟が急増しているという(特集◎医療訴訟の落とし穴、インタビュー◎桑原博道氏、日経メディカル Online、2017/8/16)。今回は、岐阜地方裁判所で2009年6月18日に判決された「平成17年(ワ)第114号損害賠償請求事件」を材料として、抗凝固療法に関連するガイドラインを見直してみたい。

 事案の概略を示す。2003年10月29日、A病院で心房細動と診断された男性(当時54歳)が、精査のため入院した。胸部単純X線写真上の著明な肺うっ血と心嚢液貯留、左室駆出率(EF)24%から、重症心不全と診断された。入院時の収縮期血圧は160〜171mmHg、左房径(LAD)53mm、心拍数68回/分だった。同日にはヘパリンが、翌30日にはワルファリンが投与された(投与量不明)。

 11月4日、主治医のB医師は、心房細動に対し電気的除細動を行うことについて、患者から同意を得た。翌5日、肺うっ血は改善したが、心房細動は持続し、EF 21%、LAD 50mm、左室拡張末期径64mm、心拍数78回/分で、拡張型心筋症と診断された。患者のPT-INRは、入院日の10月29日が1.15、11月4日1.14、6日1.15だった。

 11月7日に経食道心エコ

心房細動の電気的除細動後に脳梗塞発症の画像

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